(写真:UnsplashのTorsten Sammetが撮影した写真)
1学期は人獣共通感染症(Zoonotic diseases)の授業だった。1週間のキャッチアップ・ウィークを挟んだ10週間のコースだが、怒濤のように過ぎてしまいほとんど記事も書けずに終わってしまった。
最終評価は2500字の小論文。これが評価の50%を占める。字数制限は超えすぎても足りなすぎても減点される。参考文献の記載(今回はHarvarad 方式)はルール通りかどうか細かくチェックされる。図の挿入や、説明文の書き方なども指導が入る。日本の大学って、こういうことは良い先生に当たらないと丁寧に指導して貰えないよな・・・。お題は自分の選んだZoonosesのCase Study。自分の選んだ感染症について、
- イントロ
- 疫学
- 感染様式
- 病原体
- 症状
- 診断
- 治療
- 予防と感染のコントロール
- 結論
みたいな形式に則って書いていく。2500字も書けるのか?と思っていたが、実際に書いてみると意外と字数は埋まってしまい、むしろ無駄を削除することに苦労した。元文献をそのまま引用すると剽窃としてダメ出し(多分、下手すると失格扱い)になるので、いちいち文章をいいかえなければならず、それがまた苦労した・・・。ネイティブの学生達は、こういう所、苦もなく自分の意見を交えて構造的に述べてくる。もちろん言語の差もあるが、文献を引く技術以上に、自分の考えをまとめて述べる教育がされていると感じる。
全部書き終わったら、文献リストは50以上になっていた・・・もちろん全て読み込んだわけではないが、「きちんと」斜め読みする技術も求められる。ここもいつも苦労するところ。前回よりは、翻訳ソフトのお世話にならなかったので、自分的には満足。余裕がなくなると、翻訳ソフト率は上がる。その方が圧倒的に時間が短くなるので、背に腹は代えられない。
原稿がある程度形になったら、何度もTurnitinという剽窃チェッカーを通して、剽窃をチェックしていくのだが、この使い方が未だによくわからない。Youtubeなどもいくつか見てみたが、レポートをどう役立てたら良いのかスッキリ理解できなかった。それに加えて時間も足りず、結局十分に言い換えできないまま終わってしまった。どうか減点されませんように・・・。Turnitinについては、また改めて記事にしたい。
Case studyのテーマは重症熱性血小板減少症(SFTS: Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome)。北国に住む私にとっては、名前しか聞いたことがなく、何度聞いても憶えられない疾患だったが、いわゆる新興感染症でとてもおもしろかった。こちらも時間があれば別記事に。
テーマを決める上では、SFTSの他に、ライム病(特に公衆衛生的にどのような管理がなされているか)、エキノコックス症(同左)、渡り鳥の飛来に関連したSERSのリスク、日本ではどうしてコウモリ媒介感染症が広がらないのか、などが候補だったのだが、コースマネージャーに相談して結局SFTSになった。こんなことまで、気軽に相談を受けてくれるコースマネージャーの人柄と存在は本当に有り難い。
EssayやDiscussionはものすごく負荷がかかるが、リアルタイムのDiscussionと違い、準備して自分の意見を提出することは可能だ。なかなか筆が乗らないのだが、実際にやってみると苦しいながらもおもしろい。日本の大学生だったときにこういう経験があれば、アカデミックなことへのアレルギーはもっとなくなっていただろうし、もっとアカデミックになれていたと思う。・・・いや、でも、社会人になってからの大学院だからこそ味わえる楽しみなのかも知れない。
10数人しか学生がいないとはいえ、これだけのものを読んで採点する側のことを考えると、いろいろな意味で条件のそろった教育機関でなければ実現できないことだと、大人になった今では理解できる。感謝です。
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